2012年8月27日月曜日

じわじわくる 『コピー技法』 ・・・その7 【 子どもと対話するように 】

会話はメッセージとは違う、というお話
▲無言で対話をする親子のように・・
自然な会話、行動させるメッセージには、ある種の “美しさ” がともなうものだ ・・・というお話です。

このテーマは、ぜひとも “じわじわくる 『コピー技法』 ・・・その4 【 子どもに話しかけるように 】” を一度読んでからご覧になってください。
まず、ひととおり 『子どもに話しかける』 意識で書けるようになったうえで、その次に心がけてほしいレベルの内容を解説するつもりだからです。
“聞く耳を持たせてあげる” ためには、まず「事実」を伝えた方が早い” とはいうものの、人間の心というのは、実に厄介(やっかい)なもので、事実を伝えられただけでは “疑い”や “なぜ?” という言葉が次々に浮かんでくるものなのです。

だからこそ、優れたコピーライティングの解説書には、必ず 『読者が疑問をもちそうな点をあらかじめ書き出しておき、コピーの中でその疑問に対する答えを示してあげましょう』 といったアドバイスが書かれているはず。
ここでいう “答え” というのは、疑問に対しての “なぜならば~だから” という 『理由の提示』 なんですね。

「この商品の販売価格は5,000円です。」 
「どうして5,000円なんですか?」 
「はい。開発費用が○○円で、原料費が○○円。そして、送料込みでお届けするために様々なシステムを投資したものですから、他社の競合商品よりは、若干値段が高く感じるかも知れませんが、きっとご満足頂ける商品になっていると思います。」

といった感じで、価格・配達方法・サポートの有無など、商品説明以外の部分でも 読者の心に浮かぶ疑問にはキリがありません。
そういうわけですから、あらかじめ 『理由の提示』 をしておくことで、買わない理由のなくなったお客さま(=読者)が、アクションを起こしやすくなる。というわけなのです。


わけなのですが・・

売り込まれることに警戒心をもつ現代の “消費者の心” は、そう簡単には動かない というのも事実なんです、実際は。

そこで、読者の警戒心を解くヒントになりそうな話をひとつ。


今日の僕は、朝の9時から、月に一度の定期健診のため、 父親を病院に連れていきました。

夏休み中の病院には、親子連れが多かった・・
▲ごった返す病院のロビー。 しかし今日はいつもとは少し違って・・
待合室で3時間ほど長イスに腰掛ける時間があったので、いつものごとく、僕は本を一冊持参して、主治医から呼び出されるまでの間、ゆっくり読書を楽しむつもりだったんですが、今日はちょっと違いました。

夏休みのせいでしょう。掛かりつけの日赤病院のロビーには “親子連れ” の姿がめちゃめちゃ多かったんです。

当然(?)、走りまわる子もいれば、通路におもちゃを広げる子もいますし、大声で泣き出す子だっていたりします。もう、ザワザワざわざわ・・いつもの“高齢者ばかりの待合室”とは大違い。まるで、幼稚園に来たような騒がしさ。


最初は 「ったく・・、しつけがなってないよw」 とか何とか、ろくに本を読めない不満からブツブツ文句を言ってた僕なんですけど、途中から あることに気がつきました。

「親に語りかける子ども達が、イラついている。」 ・・そう思ったんですね。


それから、2時間ほどの間、周囲の子どもたちと(おもに)母親たちの会話をよくよく聞いていると、驚いたことに、まったく会話が成立してない。
控えめに言っても、とても “対話” と呼べるような内容ではなく、駄々をこねる子どもが目の前にいるにもかかわらず、母親の掛ける言葉が対話を拒否しているかのように思えるのです。たとえば、こんなふうに・・

子ども : 「今度、日曜にハウステンボス行く?」 
母親 : 「たぶん、そうやったろ? お父さんに聞いてん」 
子ども : 「ポケモンは?」 
母親 : 「明日 火曜日やけんね」 
子ども : 「ポニョ見たかw」 
母親 : 「ご飯、カレーにしよっか?」 
子ども : 「カレーよりポニョ・・ ダメならハウステンボスw」 
母親 : 「そっか。じゃぁ、カレーにしようね」 
子ども : 「カレー?」 
母親 : 「帰りに夢市場に寄るけん。よかね?」 
子ども : 「明日は?」 
母親 : 「お父さんに聞いてみんね」

以上は、ある親子のワンシーン。

この後、迎えに来たらしい父親は携帯電話で話すことに忙しく、母親と子どもの どちらともほとんど言葉を交わすことなく、駐車場に向かっていました。

母親に話しかける間も、子どもは ずっとおもちゃをいじるのに忙しいようで、時々まわりの人にぶつかることがあっても気にするふうでもなく、母親も注意なんてしませんから、いまの子どもは自由を謳歌(おうか)してるね~。・・と、思いきや。

よく見ると、子どもが “終始イラついている” ことに気がついたんです。


「子どもに語りかけるように」「子どもと対話するように」。・・言葉で書くのはカンタンですが、実際には難しいことだと思います。そうなんです、かなり難しいことなんです。

つまり、僕が言いたいのはこういうこと。

「なぜ?」 という問いに、真剣に向きあっている人が、はたして今の日本にどれほどいるというのでしょう?

子どもの頃から、ろくに会話する機会のなかった人に対して、あなたは何と語りかければいいのでしょう?


・・そういったことも つらつら考えた上で、再度 “じわじわくる 『コピー技法』 ・・・その4 【 子どもに話しかけるように 】” に書いていたことを もう一度。

  1. 具体的な事実を、なるべく具体例を交えながら分かりやすく示してあげる。
  2. この時、相手(読者)の頭の中で全体像をイメージできるよう心がけて伝える。
  3. 読者(お客さん)が理想に近づくために、少数の選択肢を混乱しないように示す。
これが、相手を “行動させるために有効な” 会話の基礎手順です。

読者の “疑問” や “疑い” に対して、ここに書いた手順で ①情報を整理し、②全体像を伝え、③選択肢を示すことがきちんと出来れば、相手にとっても分かりやすいというだけでなく、コピーとして書きだす場合にも、結果として “美しいコピーに仕上がる” ものだということを覚えておいてください。

僕が病院の待合室で学んだことには、もうひとつ。『 父性 』 と 『 母性 』 に関する再発見があったのですが、このことも 機会をみてお伝えしたいと思います。
もし、興味のある方は 『 父性 』 と 『 母性 』 の “心理学的側面” や、“神話学者” の解説などを調べてみてくださいね。

こういった身近な人々の観察や、そこからヒントを得てすすめる地道な研究は、コピーライティングの上達につながるだけでなく、現代日本の “いじめ問題” の本質にも迫ってみたり、あるいは “上手な家庭教育” についても学ぶことにもなっているということを、ここに補足しておきます。


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